News: HARDBOILED

ハードボイルドにニュースの解説をします。

2018年4月25日 野党6党が衆院予算委を欠席

毎日新聞】26日衆参予算委で野党抜き集中審議 理事懇決定

 衆参両院の予算委員会は25日、それぞれ理事懇談会を開き、26日に集中審議を開催することを決めた。一方、立憲民主党など野党6党は理事懇談会を欠席。国会対策委員長が国会内で会談し、麻生太郎副総理兼財務相の辞任などに応じなければ引き続き国会審議を欠席する方針を確認した。

 集中審議は、安倍晋三首相らが出席し、先の日米首脳会談を踏まえ、外交などをテーマに質疑を行う。与党は野党6党抜きでも審議を行う方針で、与野党の対立はさらに激化しそうだ。

 これに先立ち、自民党二階俊博公明党井上義久両幹事長らは25日午前、東京都内のホテルで会談し、26日に集中審議を開く方針を確認した。働き方改革関連法案について、27日に衆院本会議で審議入りすることも申し合わせた。

 自民党森山裕国対委員長は会談後、審議拒否を続ける野党に出席を働きかける考えを示す一方、「(不祥事追及を)法案審議と切り離して考えてもらわないと、国民の理解は得にくい」とけん制。「内閣不信任決議案が出されれば、衆院解散も一つの選択肢だろう」とも述べた。

 これに対し、立憲の辻元清美国対委員長は記者団に「政府・与党が財務省の異常事態をリセットすることが審議促進につながる」と反論。衆院解散の可能性に触れた森山氏の発言について「そんな余裕は政府・与党にはないのではないか」と批判した。野党6党は麻生氏の辞任や柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問などの要求に与党が応じない限り、審議拒否を続ける構えだ。【村尾哲、立野将弘】

(https://mainichi.jp/articles/20180425/k00/00e/010/287000cより抜粋)

 

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 野党6党が国会の審議を拒否し、欠席している。野党6党とは民進党、希望の党立憲民主党社民党共産党自由党の6党である。現在野党は全部で7党あり、日本維新の会以外の野党はすべて審議拒否している状況だ。
 現在、国会の勢力は大まかに3つに分けられる。与党、野党6党、維新だ。野党6党はここのところ、政権や行政機関職員を取り巻くスキャンダル疑惑などを国会で追及しており、与党はその対応に追われている。しかし国会の時間全てがスキャンダルで浪費されるわけではなく、一応は働き方改革関連法案や成人年齢を18歳に引き下げる法案、放送法の改正などについても議論している。しかし野党6党は麻生太郎副総理兼財務相が辞任に応じるとか、スキャンダル疑惑に充分な回答が得られるまではこれらの議論についても、応じられないとして審議を拒否、国会を欠席している。維新は野党の中では唯一これに乗じず、残された与党と国会協議を続け、法案の審議に取り組んでいる。

 確かにここのところ連続で財務省防衛省など行政機関の不祥事が発覚しているし、それについての与党の議員の失言などもぽろぽろと出ている。それらに関しては適切に処分されるのが望ましい。
 しかしそれを以てして、国会の審議全てをストップしてしまうというのは果たしていかがなものか。国会、そして国会議員には国民の代表として立法機関の役割を果たす責任がある。ひとつの疑惑を根拠にすべての国会審議を拒否することは、野党の議員に投票した有権者への責任を果たしているといえるだろうか。私はそうは思わない。

 先日も麻生財務大臣G20の会議に出席するために国会の承認を得ようとしたところ、財務省の福田事務次官のセクハラ問題への対応を優先すべきだとして野党6党が反対し、結局国会承認が得られなかった。与党と維新は国益の観点より別個の問題は切り離して考えるべきだとして野党6党に協力を求めていたが、野党6党はかたくなに反対の姿勢だった。国益よりもスキャンダルが優先で、国会議員としてそれでいいのかという疑問が浮かぶ。

 そんな野党6党への国民の不信感は支持率に表れている。一連の不祥事を追及していても、野党の支持率はほとんど上がっていない。特に希望の党は先日、前代未聞の支持率0パーセントを叩き出した。これは歴史に残るだろう。
 最新の調査では政権支持率は30パーセント台(調査機関によってブレがあるがおおむねこの程度)だが、与党支持率は50%ほどあるという点からも、国民の支持が野党に移ったわけではないということが見て取れる。
 与党6党は一連のスキャンダルの追及の中で「内閣総辞職ものだ」などと一時は総辞職まで求めていたが、今この状況で解散総選挙が行われた場合、野党に勝機はないと見ていいだろう。引用した記事にも『立憲の辻元清美国対委員長衆院解散の可能性について「そんな余裕は政府・与党にはないのではないか」と批判した』とあるが、解散されると困るからこのように言っているように見える。野党は本当に勝機があるのなら、すぐにでも解散すべきだと言うはずである。

 様々な政治評論家や識者が指摘している通り、不祥事追求は特別委員会でも作ってそちらでやればよい。不祥事追求と法案審議は分けて考えなければならない。世界の状況はこうしている間にも激動している。喫緊の課題も多い。そんな中、不祥事追求だけで国会そのものが台無しになってしまうのは残念としか言いようがないし、投票してくれた有権者の期待を裏切る行為だ。
 また1日3億円とも言われる国会開催費用も掛かっているのに、それを無駄にすることは感心できない。
 国会のあり方についても、今こそ考えるべきかもしれない。

2018年4月24日 トロントで自動車暴走事件、テロか

産経新聞G7外相会合開催中のトロントで車暴走し9人死亡 テロの可能性も

 【トロント=上塚真由】先進7カ国(G7)外相会合が開かれているカナダ・トロントで23日午後、ワゴン車が歩道に突っ込み、地元警察によると、少なくとも9人が死亡、16人が負傷した。運転していた人物は身柄を拘束された。ロイター通信によると、米治安当局者は、捜査当局がテロの可能性が高いとみて調べていると述べた。

 地元警察によると、23日午後1時半(日本時間午前2時半)ごろ、白いワゴン車が縁石に乗り上げて歩道に突入し、歩行者を次々とはねた。ロイター通信は、目撃者の話として、ワゴン車が約1・6キロにわたって暴走したと伝えた。ワゴン車はレンタカーだったという。
 現場はトロント中心部から北に約30キロ。商店などが立ち並ぶ地域で、発生当時は昼食のため外出する人で混雑していた。G7外相会合に影響はなく、警備体制に変更はないという。
 カナダのグッデイル公安・非常時対応準備相は23日の記者会見で、「深刻な事件だ」と述べた。また、今回の事件がテロ事件かどうかは判断できず、情報収集を進めているとした。

(http://www.sankei.com/world/news/180424/wor1804240014-n1.htmlより抜粋)

 

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(画像はWikipediaより、トロント市)

 

 トロントで起きたこの事件、引用した記事の時点では9人死亡、16人負傷となっているが、4月24日昼の時点では10人死亡、15人負傷という報道が出ている。
 この事件はテロの可能性が極めて高い。現地のトロントでは現在、G7(先進7か国会議)が開催されている。また今回の事件はカナダだが、その隣国アメリカでは近年、今回のように自動車が歩道に乗り上げて暴走する手口のテロ事件が相次いでいる。
 犯人はすでに地元警察によって拘束されており、数日の間に追加の情報が明らかになるだろう。テロかどうかもそれによって判断される。

 

 ただ、今回の件は明らかに計画的犯行だ。ただ単に運転操作を誤って事故を起こしたというのではない。1.6キロメートルも暴走を続けている。またそれだけの距離を進む間、歩道には街灯やゴミ箱などもあっただろうがそれらを避けて再び歩道の通行人を狙っているはずだ。また車両自体もレンタカーである。


 これまでの暴走テロ事件はイスラム過激組織のISIL(自称『イスラム国』)の影響を受けたものだったが、今回についてはまだ確認が取れていない。ISILは現在、拠点の中東でほぼ壊滅状態となっている。一時期は占領範囲も広かったが、今では首都と位置づけていた都市も奪還され、離散に近い状態だと言われている。
 ISILは当初、インターネットなどを通じて人材を確保し、中東に集結させて戦闘員としていたが、劣勢になるにつれ資金繰りなども苦しくなり、中東でなくても各々自分の国で単独でテロ事件を起こせという方針に変わっている。そのためのテロマニュアルまで作成し、爆弾の作り方や自動車暴走テロ事件の起こし方を解説しているほどだ。
 実際に先述したようにアメリカではこの影響でISILの影響を受けた単独犯による自動車暴走テロ事件が相次いでいた。これらはAlone Wolf(ローンウルフ/一匹狼)と呼ばれる。

 

 ただ、ISILのテロであれば事件を起こした直後にISILだと表明するのがセオリーだ。テロリズムというのはもともと恐怖を植え付けて政治的要求を呑ませることだが、ISILの差し金だとわからなければ、ISILの要求が受け入れられることはないからだ。ISILのテロマニュアルでも必ずISILであることを表明せよとしている。
 しかし今回は現時点で犯人がそのようなことを表明していないので、ISILによるテロかどうか判断できない、ということだ。

 

 先述したようにISILはほぼ壊滅状態で一部離散している。しかしまだ全滅ではない。過激派組織が離散するということは、今後世界中で今回と同様のテロのリスクが増えるということだ。特に東南アジアやアメリカ、EU、その他にも世界規模の大きなイベントの開催地はリスクが高いと言われている。日本はと言えば、2020年の東京オリンピックが一番リスクの高まるタイミングだろう。

 

 日本は当時のオウム真理教による地下鉄サリン事件という衝撃的な化学兵器テロを経験している。地下鉄サリン事件はれっきとしたテロリズムであり、しかも化学兵器を使用した世界でも例のなかったテロだが、今でもそう認識していない人は多い。アメリカの危機管理官がテロ対策のため日本に話を聞きに来て、地下鉄サリン事件以降何も対策が進んでいないと聞いて愕然としたという話もある。日本人はテロリズムの脅威にさらされることに鈍感というか、能天気な面があるのかもしれない。
 しかし2020年は2年後にやってくる。地下鉄サリン事件のような組織的なテロ、近年増加しているようなローンウルフのテロ、どちらに対しても対策を急ぐ必要がある。
 組織的なそれはテロ対策基本法により事前に取り締まることもできるようになったが、ローンウルフのそれは兆候を見つけることも、取り締まりを行うことも難しい。今後、むしろローンウルフのテロがより増えてくる可能性は高い。21世紀型のテロだと考えてもいいかもしれない。

 

 このような国民の命がかかるような大きな課題について、国会には充分な議論を尽くしてもらいたい。国会はスキャンダル追及の場ではない。ましてや今、世界が激動する時代、このタイミングに、本当の問題は何なのか、しっかり考えていただきたいものだ。

2018年4月19日 麻生財務大臣、国会承認得られずもG20参加へ

産経新聞麻生太郎氏、国会了承なくG20へ 財務省批判強まる 

 麻生太郎財務相は19日、米ワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相中央銀行総裁会議に出発する。福田淳一事務次官のセクハラ疑惑を巡り、テレビ朝日が社員の被害を公表したことで、調査に及び腰な財務省に対する批判が強まるのは必至。森友学園問題を含め問題が山積する中、国会の了承なしでの海外出張に野党から反発の声が上がっており、麻生氏の監督責任が焦点となる。

 財務省は疑惑の調査を弁護士事務所に依頼し、女性記者に被害を申告するよう求めた。国会で調査の徹底を求められても、被害者側の証言がなければセクハラの認定はできないと説明してきた。テレビ朝日が19日未明の記者会見で、女性社員が福田氏のセクハラを受けたと発表したことで、野党などから早期の真相解明への圧力が高まりそうだ。

(http://www.sankei.com/economy/news/180419/ecn1804190019-n1.htmlより抜粋)

 

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 財務省の福田事務次官テレビ朝日の女性記者にセクハラをしていたと週刊新潮が報じた件で、財務大臣の麻生氏にまた矛先が向いている。

そもそもこのセクハラ疑惑については様々、考えるべきところがある。整理しながら辿ってみよう。
 第一報は週刊新潮から出た。しかし被害者はテレビ朝日の女性記者だという。まずこの時点でおかしな話だ。なぜ朝日はテレビ朝日なり朝日新聞なりで取り上げず、週刊新潮が第一報なのか。これについては被害者が上司に相談したところ「難しい」と言われたとされている。上司に相談しても無駄だったから録音を取って週刊新潮にタレこんだというのだ。
 つまり、テレビ朝日は自社の女性記者がセクハラを受けていると相談しているにもかかわらず上司はろくに話も聞かなかったうえ精神的苦痛が容易に想像される当該業務を継続させ、しかもこれだけ大事になるようなスクープを取り逃しているということになる。一会社としても報道機関としてもこれはお粗末すぎないか。

 また、セクハラの証拠とされる録音の証拠能力にも疑問が残る。まずこの録音は編集されていた。それだけで証拠としては怪しくなる。普通このような証拠は会話の流れや状況がわかるようにひとつづきのまとまったものを出す。編集されているとなると恣意的に一部分だけを切り抜いて問題を仕立てあげることができてしまうわけで、そのような疑いを持たれないためにも普通は編集などしないのだ。
 また録音に収録されていたのは福田事務次官の発言だけであり、被害女性の発言はまるまるカットされている。これは被害者の保護のためと言われているが、それも不自然だ。先に述べた理由があるため、普通は被害女性の発言だけ音声を変えるなどして会話の流れを明らかにする。その方がよりセクハラの存在と悪質性を立証できるからだ。
 案の定、福田事務次官は今回のセクハラ疑惑を全否定し「一部だけ切り取られている。全体を見ればセクハラではないことは明らかだ」という趣旨のことを言っている。今回の件がまた「疑惑」止まりなのもこれらの証拠能力の低さ、不自然さゆえだ。
本当にセクハラがあったのであれば許されるべきでも中途半端な追求で終わるべきでもない。しかし現時点での証拠は決定力に欠けるどころか本人が全否定できるほどガバガバだと言わざるを得ない。

 そしてこの録音、一つ問題がある。それは許可なく録音されていることだ。
この手の取材では政治家や官僚との個人的な信頼関係づくりが欠かせない。報道機関が様々な組織の内部情報をどのようにして手に入れるかと言えば、取材とは別の場で何度も食事などを重ねて信頼関係を作り「いやぁ君だから話すんだけど、実はね……」を狙うのだ。そのように情報を提供してくれる対象者を記者の側も守り、匿名の情報提供者として扱う。新聞の記事やテレビのニュースで「関係者によると」という枕詞で出てくる内部情報はそのように漏れ出しているというわけだ。
 しかし今回の録音はまさにそのような「取材とは別の場」での会話であり、ここを録音し、公開するというのは記者と政治家や官僚との信頼関係を揺るがすことにつながる。ここがいつ録音されているか分からないということになると結局記者と会っている時間はすべて取材ということになってしまい、特に女性記者相手にオフレコの場で発言した内容の一部が切り取られて公開され、セクハラだと言われるとなると、女性記者とは一切会いたくないと思う人もいるだろう。朝日・新潮以外の報道機関からすれば「おいおい勘弁してくれ」である。

 一方で福田事務次官のほうも不自然だ。セクハラ疑惑を全否定しているにもかかわらずそれから間をおかずに辞任している。これは一体どうしたことか。本当に無実ならば堂々と否定し、職務を続ければよいが、今回は疑惑が持ち上がってから辞任までの時間も短い。
 思うに、報道されている録音は確かに編集され、恣意的に切り取られたものかもしれないが、実際に今出ている以外にもかなり際どい、ひょっとしたら完全にアウトなセクハラ発言があったのではないか。それが表に出てくることを恐れてさっと身を引いたのではないか。録音の内容を聞くと、福田事務次官の発言内容は誘い文句としてはお世辞にも品があるとは言えない。今出ている以上の致命的な一言がある可能性もある。

 そして一番の問題は、このセクハラ疑惑をまた国会で延々とやっている点である。野党はセクハラ疑惑の監督責任として麻生財務大臣を追及しているが、麻生財務大臣に部下のプライベートな時間の監督責任を問うのは筋違いであるうえ、麻生氏は本日19日にアメリカで開かれるG20財務相中央銀行総裁会議が控えている。野党はこれについても参加を取りやめてセクハラ疑惑への対応をするよう求めている。
 確かにセクハラが事実であれば被害女性は気の毒であるし、福田事務次官は許されるべきではないのだが、麻生氏がG20に出るのを拒否するというのはいかがなものか。(北朝鮮問題などの時勢的偶発的なものを除けば)今の日本にとっての最重要課題は経済であるはずだ。日本は世界の中でも経済規模が大きく、世界の経済の中で存在感を放つことができる。今回のG20で日本が世界経済の中で果たす役割を確認する意義は非常に大きい。国益という観点からして麻生氏がG20に出ないというのはありえない。しかし維新を除く野党はこれに反対しており、与党と維新が国益への配慮を求めているが結局国会承認は得られなかった。

 実はもともと国会承認はG20参加の必要条件ではなく、国会が承認するしないにかかわらずG20には参加できるため、麻生氏はG20参加を表明している。しかしマスコミは「国会承認が得られないまま強行する暴挙」という論調でネガティブキャンペーンを展開中で、残念としか言いようがない。
 たった一つの、それも「疑惑」で国会や他国との会議をすべてストップさせてしまう最近の野党とマスコミのやり方は目に余るものがある。特別委員会でも作ってそちらでやるか、野田聖子女性活躍担当大臣あたりが音頭を取るのがいいのではないか。

2018年4月13日 19歳警官が上司を射殺

毎日新聞】銃弾、頭部を貫通 至近距離から狙う?

 滋賀県彦根市の同県警彦根河瀬駅前交番で11日夜、男性巡査(19)が上司の井本光(あきら)巡査部長(41)を拳銃で射殺したとされる事件で、発射した2発のうち1発は頭部を貫通していたことが13日、捜査関係者への取材で分かった。明確な殺意を持って至近距離から殺害した可能性があるとみて調べている。

 捜査関係者によると、1発は後頭部から前頭部を抜け、交番内の床で発見された。背中に撃たれたもう1発は体内に残っていた。巡査は「巡査部長の背後から拳銃を撃ち、殺したことは間違いない」などと供述しており、県警は井本巡査部長が後ろを見せた隙(すき)に発砲したとみている。

 発見時、井本巡査部長は椅子に座り、机に突っ伏した状態だった。男性巡査は「巡査部長は椅子に座ったまま前に倒れ、ぴくりともしなかったので死んだと思った」と供述し、交番の防犯カメラにも逃走する姿が映っていることから、救命措置などをせず逃げたとみられる。県警は13日午後、男性巡査を殺人容疑で大津地検に送検した。【小西雄介、西村浩一】

(https://mainichi.jp/articles/20180413/k00/00e/040/259000cより抜粋)

 

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(画像は事件現場となった彦根河瀬駅前交番。滋賀県警ホームページ[www.pref.shiga.lg.jp]より抜粋)

 

 19歳の警官が上司を拳銃で射殺するというインパクトのある事件だ。拳銃は銃器の中では貫通力はさほど高くないが、放たれた2発のうち1発は頭部を貫通していることから、容疑者は明確な殺意をもって至近距離から発砲したとみられている。警察が同僚を殺害する事件は初めてだ。

 ワイドショーやニュース番組ではこの事件を取り上げて「最近の若者は我慢が足りない」だとか「配属されてすぐの犯行であり、教科書で習ったことと現実とのギャップを受け入れられなかったのではないか」といったような、容疑者の精神的未熟さに原因を求める向きが強い。中には20歳未満の未熟な警官に銃を貸与するのをやめさせるべきだという意見もある。
 なるほど確かに容疑者自身の未熟さも原因の一つかもしれない。しかし、この事件においてはそれだけで話を終わらせてはならない、もっと重大な原因がありそうだ。

 報道によると、被害者の巡査部長は容疑者の教育係であり、容疑者は被害者に日常的に罵倒されていたという。事件に至った発砲のきっかけも被害者からの罵倒を受けてということだ。
となれば、容疑者は被害者から日常的にパワーハラスメントモラルハラスメントを受けていた可能性が高い。特別差し迫って危険が及ぶ状況などでない限り、立場の弱い新人を怒鳴りつける行為、それも日常的にというのは通常の教育係の教育行動とは言い難い。
ただでさえ警察官の世界は体育会系の色が濃く厳しい上下関係がある。自覚しているいないにかかわらずそれを利用してパワーハラスメントモラルハラスメントを行うことが容易な状況であっただろう。
 つまり、容疑者には被害者を憎悪するだけの充分な理由があり、普段から憎悪を募らせていて、ついに我慢の限界を超えてしまったのではないか。

 ハラスメントの恐ろしいところは、やっている側に自覚がないところだ。「このくらい俺たちの時代では普通だった」とか「このくらい我慢できないようではこの先勤まらないぞ」といったような自己正当化もありがちだ。しかしその実これらは理不尽なハラスメントを相手にそれらしく押し付けて自分が優越感を得るための甘えに過ぎない。

 また被害者は41歳の巡査部長だが、41歳と言えば就職氷河期の世代であり、同世代が就職難にあえぎ、非正規雇用に甘んじている中で警察官という世間的には『立派』とされるような職に就き、41歳までには巡査部長まで昇進している。これに関しては相当な努力をしてきたことだろうが、それゆえに選民思想と紙一重の行き過ぎた自己肯定感や自尊心を形成していた可能性もあるだろう。
 またなまじ努力して成功を掴んできただけに、他人にも必要以上の強い心理的・業務的負荷をかけ、独自の解釈による『努力』を強制するような心理が働いたとしてもおかしくはない。
 
 今回の被害者がどの程度苛烈なハラスメントを行っていたかは現時点では不明だが、少なくとも罵声を浴びせる行為は既に報道されている通りあったようで、ハラスメントがなかったとは言えない状況だ。
 被害者は殺人を犯しているという点で擁護はできないが、その精神的な未熟さばかりを問うのではなく、事件を誘発した背景にハラスメントという上の立場の者の甘え、教育係としての未熟さや不適格さがあった点も見逃してはならないニュースである。

2018年4月12日 アサド政権が化学兵器を使用か

毎日新聞化学兵器疑惑 アサド政権、反体制派排除優先か 製造容易、塩素ガス?

 【カイロ篠田航一、ブリュッセル八田浩輔】シリアの首都ダマスカス近郊・東グータ地区ドゥーマで7日に起きた化学兵器使用疑惑で、欧米諸国はアサド政権による使用の疑いを強めている。政権側は使用を一貫して否定しているが、仮に事実だった場合、国際的な非難が集中するのは確実だ。政権側がリスクを認識しつつも、同地区で最後まで抵抗を続けた反体制派武装勢力イスラム軍」排除を優先し、強硬手段に出た可能性がある。

 世界保健機関(WHO)は11日、東グータ地区で、約500人から有毒な化学物質にさらされたとみられる症状が確認されたとし、「深刻な懸念」を表明した。地下に避難して亡くなった70人超の死者のうち43人は、猛毒の化学物質にさらされた可能性があるという。

(https://mainichi.jp/articles/20180412/dde/007/030/031000cより抜粋)

 

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(画像はWikipediaよりバッシャール・アル=アサド大統領)

 

 シリアでは独裁のアサド政権と反アサド政権勢力が武力衝突を繰り返しており、ロシアがアサド政権側を、アメリカが反アサド政権勢力側を支援し、代理戦争の様相を呈している。またその衝突では化学兵器がたびたび使用されている。
化学兵器の使用は人道的にも国際法的にも違反であり、非難の対象だ。記憶に強烈なのはちょうど去年の今の時期にアメリカのトランプ大統領が、アサド政権の化学兵器使用に対して59発の巡航ミサイル『トマホーク』を撃ち込んだ件だ。中国の習近平国家主席との会談の最中、晩餐会でちょうどデザートを食べている最中に「今まさにこのとき、シリアに巡航ミサイルを撃ち込んだ」と報告し、度肝を抜いた。

 

 今回の化学兵器使用についてアサド政権側は否定しているものの、各国や研究機関はアサド政権がこれを使用したと断定する向きだ。今回使用されたとみられる塩素ガス兵器は製造が比較的容易とされ、窒息などこれまでにアサド政権により塩素ガス兵器が使用された際と同じ症状で死傷した者が多数出ている。

 

 今回の注目は、これに対してアメリカがどう対応するかだ。前回もトマホークを撃ち込んでいることから、今回何もしないというのは考えられない。前例があるのに今回見逃すことは「見逃しますよ」というメッセージを発することになってしまうからだ。ゆえに、どのような攻撃を、どの程度の規模で、どのタイミングで行うかをトランプ大統領は決断することになる。


 ただしアメリカは「世界の警察」をやめようとしている。シリアからも手を引きたいと明言しているため、今回あまり大規模な攻撃を行うと泥沼化してしまい、ますます介入の度合いを強めることになってしまう可能性がある。しかもアメリカはいまシリアよりも北朝鮮に注力したい場面である。政権の要人も対北朝鮮強硬派で固め、米朝首脳会談が決裂に終わった際にはすぐさま軍事攻撃できるよう準備を進めている。

 

 ただ、ここでトランプ大統領がシリアに攻撃した場合、それが北朝鮮への、一種見せしめ的な効果を持つことも考えられる。アメリカは時には迷わず軍事行動も本気でやるんだぞというアピールになれば、米朝首脳会談においてもイニシアチブを握るひとつの材料になる。トランプ大統領がこの局面をどう使うか、ここ数日のニュースに注目だ。

2018年4月4日 防衛省の陸自イラク派遣時日報見つかる

毎日新聞】「また文書」政府防戦必死 自民不満たらたら

 防衛省が「不存在」と説明していた陸上自衛隊イラク派遣時の日報が見つかった問題で、安倍政権は「あくまで防衛省内の問題」と強調し、政権への打撃を抑えようと躍起だ。しかし公文書や情報の管理を巡る不祥事は、昨年から今年、防衛省だけでなく財務省文部科学省厚生労働省内閣府などで多発する異常事態。佐川宣寿国税庁長官の証人喚問を終えて一息ついたばかりの自民党からも、政府の「緩み」に不満が噴き出している。【竹内望、高橋克哉】

 「防衛省の情報公開、文書管理については国民や国会から厳しい指摘を受け、再調査している」
 菅義偉官房長官は3日の記者会見でこう強調。責任の所在を記者団から尋ねられると「まずは防衛省の中で対応する話だ」と述べるにとどめた。

(https://mainichi.jp/articles/20180404/k00/00m/010/224000cより抜粋)

 

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(画像は防衛省Wikipediaより引用)

 

 財務省に続いて防衛省で文書管理についての問題が浮かび上がった。陸上自衛隊イラク派遣を巡って、存在しないとしていた当時の日報が見つかったのだ。防衛省は昨年にも南スーダンPKO活動時の日報を巡る情報管理の問題で当時の稲田防衛相が辞任している。

 「森友文書」問題に続いてのこの時期に立て続けに文書管理についての問題が発覚し、政権への大打撃だとする向きもある。しかし本当にそうだろうか。どちらかと言えば今回の問題は政権に有利に働くと思えてならない。実のところ私は政権側が意図的にこの時期にタイミングを合わせて今回の防衛省の問題を出してきたのかと思ったくらいだ。それはどういうことか。

 ここのところ騒がれた「森友文書」問題では、森友学園へ売却した土地の値引き問題と公文書管理の問題とが野党とマスコミによって意図的に一緒くたにされて追及されていた。そのうち値引き問題については言いがかりだということがかなり確定的になっていているが、公文書管理には確かに大きな問題がある。しかし、本来切り離して考えるべき二つの問題がまとめて論点もわからず「とにかくバッシングする」という具合になってしまっていた。
 しかしここで防衛省の公文書管理問題を出すことで、当然野党やマスコミは「森友学園に続いて公文書管理に問題が!」という論調で追及することになる。それにより森友学園の件について、公文書管理の部分を値引き問題と切り離すことができるようになる。
 つまり、政権側の「罠」のようなものではないかと思う。
 そして公文書管理の杜撰さは安倍政権だけの問題ではない。
裁量労働制についての調査結果が不備だらけだったため安倍首相が答弁を撤回したのも記憶に新しいが、その調査結果は民主党政権下でまとめられたものだ。
 また同じく民主党政権下の2010年には厚生労働省東北厚生局の職員が、情報公開法に基づき開示した文書を改ざんするという、森友文書や防衛省の日報など比較にならないほどの言い逃れの余地もない特大不祥事をやらかしている。だが当該職員の減給処分だけで責任者も厚生労働大臣も、ましてや総理大臣が辞職などしていない。

 それでも仮にこの問題で世論が動き、内閣支持率が回復不能なまでに落ち込んだとしても、今解散総選挙を打てば確実に自民党が勝てる。ただしその場合は憲法改正がほぼ不可能になるという犠牲も伴うが、消費税増税中止とセットにすれば万が一の可能性は残るだろう。

2018年3月29日 麻生財務相、森友ばかりの報道に不満

共同通信】麻生財務相「TPPより森友か」連日報道に不満示す


 麻生太郎財務相は29日の参院財政金融委員会で、連日報道されている森友学園を巡る決裁文書改ざん問題に関連し「森友の方が環太平洋連携協定(TPP)より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と発言した。報道姿勢に不満を示したとみられる。


 麻生氏は、最近の新聞報道で森友問題に比べTPPに関する記事が少ないことに言及し「日本の新聞のレベルはこんなもんだと思って経済部のやつにぼろかす言った覚えがある」と話した。

(https://this.kiji.is/351936386130232417?c=39546741839462401より抜粋)

 

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 連日の森友学園を巡る報道については、国民の大多数がうんざりしていることが世論調査政党支持率に表れている。すでに1年以上も国会での追及が行われているのに、何の実りもない。


 少し整理してみよう。発端は近畿財務局が森友学園に土地を破格で売ったことだが、そこには裏がある。その土地は大量のごみが埋まっているうえ空港近くで建築物に関して規制の多い土地であり、言ってみれば「早く手放したい不良物件」だ。問題は、この土地を早く売りたい近畿財務局が、森友学園に大量のごみが埋まっていることなどを隠して売ってしまったことにある。しかも通常、このような売買は競売、つまりオークションにかけられるのだが、それをせずに随意契約という形で手っ取り早く売ってしまった。この時点では近畿財務局に非があり、森友学園は被害者だ。

 しかし後になってごみが見つかり、森友学園の籠池理事長が近畿財務局に怒鳴り込むことになる。その結果、近畿財務局は籠池理事長の要求を呑んで値引きに応じざるを得なくなった。その際籠池理事長が「俺は政治家の○○さんにも顔が利くんだぞ!」という脅し文句を多用した。実際はそのほとんどが嘘であったため、現在は詐欺容疑で拘留中である。そしてその嘘を並べた脅し文句の中に安倍総理夫人である安倍昭恵氏の名前もあった。

 ちなみに森友学園の土地の値引き額8億円がどのくらいの大事なのかと言えば、その隣の講演の土地は14億円値引きされ、実質無料で引き渡されている。このことから8億円が大きな問題ではないことと森友学園の土地だけを特別視して語るのが誤りであることがわかる。

 そして後にこの問題は詐欺師たる籠池理事長の「昭恵氏の働きかけがあった」などの言葉を元に国会で大問題に仕立て上げられていった。あとはご存じの通りだ。

ちなみにいわゆる「森友文書書き換え問題」は公文書管理の問題であり「森友学園の土地売買に関する問題」とは本来分けて考えなければならないのだが、そこも案の定意図的に混同されている。


先にも述べたとおり、森友学園の土地値引き額は8億円。国会は1日開けば3億円の費用が掛かる。現在まで1年以上この問題を取り上げ続けていることは、この問題のためにかかったコスト、その時間で審議するはずだった他の様々な問題が解決できなかったコスト、その他関連のコストなどを併せれば、ゆうに1兆円はかかっているだろう。この問題を必要以上に国会で扱い、他をないがしろにすることがいかに悪影響か、野党にはよく考えてほしい。


 先日も麻生財務大臣はこの問題に追われG20の会議に出席できなかった。そこではアメリカのトランプ氏が打ち出した関税や仮想通貨について話し合われた。特に仮想通貨の分野では、他国と比べて日本に利があるため、会議においてイニシアチブを握り、今後の世界経済の中で大きな役割を得ることができただろうと考えられるだけに、この損失は痛手である。


 一方、他の野党に安易に同調せず、冷静に前向きな国会運営を目指す野党も存在する。日本維新の会がそうだ。他の6党が審議拒否などを行う中、森友問題は森友問題であり他の重要な問題はそれはそれで審議しなければならないとして建設的な姿勢だ。しかし現在の維新は人数が少なく、勢力としては弱いためマスコミの報道も少なく、存在感に欠ける。個人的にはそのような姿勢は応援したいし、こうした野党が増えてくれないものかと思っているのだが。