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2018年3月19日 プーチン大統領がロシア大統領選で再選

共同通信】ロ大統領選、プーチン氏勝利宣言

 ロシア大統領選は18日、即日開票され、中央選管によると、現職のウラジーミル・プーチン大統領(65)が開票率50%の段階で75.00%を得票し、通算4選を確実にした。プーチン氏は同日夜、モスクワ中心部で支持者を前に演説し「選挙結果は高い信頼の表れだ」と述べ、勝利宣言した。

 プーチン氏は、強い指導者の下での「大国ロシア復活」を主張。国民は、ソ連崩壊後の社会混乱から安定と経済発展をもたらした実績と指導力を評価した。

 有力な対抗候補が不在の中、プーチン氏は国民の高い信任を受けた大統領として2024年までの政権運営に当たる。

(https://this.kiji.is/348197253300683873より抜粋)

 

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 ロシアのプーチン大統領の任期切れに伴う大統領選挙が行われ、再びプーチン氏が圧倒的な得票で選出された。
 プーチン大統領が再選を果たすだろうということは以前から言われていた。プーチン大統領は絶大の人気を誇るし、対抗馬もプーチン大統領と渡り合うほどの力のある人はいない。今回の再選は当然の予定調和とも言える。

 プーチン大統領はロシアにとって「強いリーダー」だ。アメリカのトランプ大統領しかり、中国の習近平主席しかり、日本の安倍首相もそれ以前の首相に比べて格段に「強いリーダー」だ。それぞれタイプは違うが、強いリーダーが求められている時代なのだろう。それは近年のリベラリズム重視の流れから19世紀的なナショナリズムへの揺り戻しでもあると考えられる。先日のイタリアの選挙でも右派政党が勝利した。その流れの象徴が中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領である。
 習近平主席は中国国家元首の任期制限を撤廃、事実上の終身独裁者となった。このことを指して「習氏は皇帝になろうとしている」という声もある。
一方ロシアのプーチン氏は選挙という民主的なプロセスを経ているが、実質はプーチン氏一強の独裁体制とも言える。大統領と首相の地位を入れ替えることもあるが、プーチン氏が事実上トップである期間は長期に渡り、これも「ツァーリ(皇帝)のようだ」と言われる。

第二次世界大戦の後、戦後体制によって世界の主要国間で目立った争いは避けられてきたが、近年では国連が形骸化。ロシアのクリミア併合や中国が南シナ海での実効支配を強めるなど、大国による問題行動は国連安保理を麻痺させ、また「イスラム国」の登場により熱を増した中東情勢や核兵器のちらつく北朝鮮情勢をきっかけに、きな臭い動きが目立つようになっている。アメリカは戦術小型核兵器開発を目指しているし、日本でも一部に核武装論がある。ロシアも先日プーチン大統領ツァーリ(皇帝)化によってこれに対応する準備ができている。
こういう情勢ではもともと独裁色の強かった社会主義の国の方がフットワークが軽いのだろう。今後、中国とロシアは世界情勢の中でさらに存在感を増してくる。
日本は中国とは尖閣諸島、ロシアとは北方領土の問題がある。ロシアとは比較的良好な関係が気付けているものの、それは安倍首相とプーチン氏の個人的な友好関係に裏打ちされているもので、政権交代した後は保証されていないし、中国は尖閣諸島へのアプローチを強めてきている。日本もこうした状況への対応を考えなければならない。なにも好戦的になる必要はないが、これまでの70年間のように牧歌的にのほほんとしていればアメリカが守ってくれるという考えをいつまでも持っていてはいけないのかもしれない。
ちょうど、憲法改正自衛隊を明記する議論がある。どのような条文になるかはまだわからないが、自衛隊あるいは自衛権の行使がしやすくなれば、諸問題へのけん制になるだろう。