News: HARDBOILED

ハードボイルドにニュースの解説をします。

2018年3月29日 麻生財務相、森友ばかりの報道に不満

共同通信】麻生財務相「TPPより森友か」連日報道に不満示す


 麻生太郎財務相は29日の参院財政金融委員会で、連日報道されている森友学園を巡る決裁文書改ざん問題に関連し「森友の方が環太平洋連携協定(TPP)より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と発言した。報道姿勢に不満を示したとみられる。


 麻生氏は、最近の新聞報道で森友問題に比べTPPに関する記事が少ないことに言及し「日本の新聞のレベルはこんなもんだと思って経済部のやつにぼろかす言った覚えがある」と話した。

(https://this.kiji.is/351936386130232417?c=39546741839462401より抜粋)

 

f:id:arkeninger:20180329175327j:image

 連日の森友学園を巡る報道については、国民の大多数がうんざりしていることが世論調査政党支持率に表れている。すでに1年以上も国会での追及が行われているのに、何の実りもない。


 少し整理してみよう。発端は近畿財務局が森友学園に土地を破格で売ったことだが、そこには裏がある。その土地は大量のごみが埋まっているうえ空港近くで建築物に関して規制の多い土地であり、言ってみれば「早く手放したい不良物件」だ。問題は、この土地を早く売りたい近畿財務局が、森友学園に大量のごみが埋まっていることなどを隠して売ってしまったことにある。しかも通常、このような売買は競売、つまりオークションにかけられるのだが、それをせずに随意契約という形で手っ取り早く売ってしまった。この時点では近畿財務局に非があり、森友学園は被害者だ。

 しかし後になってごみが見つかり、森友学園の籠池理事長が近畿財務局に怒鳴り込むことになる。その結果、近畿財務局は籠池理事長の要求を呑んで値引きに応じざるを得なくなった。その際籠池理事長が「俺は政治家の○○さんにも顔が利くんだぞ!」という脅し文句を多用した。実際はそのほとんどが嘘であったため、現在は詐欺容疑で拘留中である。そしてその嘘を並べた脅し文句の中に安倍総理夫人である安倍昭恵氏の名前もあった。

 ちなみに森友学園の土地の値引き額8億円がどのくらいの大事なのかと言えば、その隣の講演の土地は14億円値引きされ、実質無料で引き渡されている。このことから8億円が大きな問題ではないことと森友学園の土地だけを特別視して語るのが誤りであることがわかる。

 そして後にこの問題は詐欺師たる籠池理事長の「昭恵氏の働きかけがあった」などの言葉を元に国会で大問題に仕立て上げられていった。あとはご存じの通りだ。

ちなみにいわゆる「森友文書書き換え問題」は公文書管理の問題であり「森友学園の土地売買に関する問題」とは本来分けて考えなければならないのだが、そこも案の定意図的に混同されている。


先にも述べたとおり、森友学園の土地値引き額は8億円。国会は1日開けば3億円の費用が掛かる。現在まで1年以上この問題を取り上げ続けていることは、この問題のためにかかったコスト、その時間で審議するはずだった他の様々な問題が解決できなかったコスト、その他関連のコストなどを併せれば、ゆうに1兆円はかかっているだろう。この問題を必要以上に国会で扱い、他をないがしろにすることがいかに悪影響か、野党にはよく考えてほしい。


 先日も麻生財務大臣はこの問題に追われG20の会議に出席できなかった。そこではアメリカのトランプ氏が打ち出した関税や仮想通貨について話し合われた。特に仮想通貨の分野では、他国と比べて日本に利があるため、会議においてイニシアチブを握り、今後の世界経済の中で大きな役割を得ることができただろうと考えられるだけに、この損失は痛手である。


 一方、他の野党に安易に同調せず、冷静に前向きな国会運営を目指す野党も存在する。日本維新の会がそうだ。他の6党が審議拒否などを行う中、森友問題は森友問題であり他の重要な問題はそれはそれで審議しなければならないとして建設的な姿勢だ。しかし現在の維新は人数が少なく、勢力としては弱いためマスコミの報道も少なく、存在感に欠ける。個人的にはそのような姿勢は応援したいし、こうした野党が増えてくれないものかと思っているのだが。