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2018年1月27日 日韓首相、平昌五輪開会式に合わせて会談へ

【読売新聞】日韓首脳、9日会談…安倍首相訪韓へ最終調整

安倍首相は来月9日の韓国・平昌ピョンチャン冬季五輪の開会式に合わせ、9~10日の日程で訪韓する方向で最終調整に入った。

 文在寅ムンジェイン大統領とは9日午後、開会式が行われる「平昌オリンピックスタジアム」近くのホテルで首脳会談を行う方向だ。

 首相は9日夜、五輪開会式に出席。10日は平昌のほか、フィギュアスケートやスピードスケートなどの競技会場がある江陵カンヌンを回り、出場選手らを激励する。同日夜に帰国する予定だ。

 首相の訪韓は2015年11月以来。日韓首脳会談は韓国が今月9日に慰安婦問題を巡る日韓合意についての新方針を発表して以降、初めてとなる。首相は文氏との会談で日韓合意の着実な履行を求めるほか、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への圧力路線での日米韓3か国の結束を呼びかける考えだ。

2018年01月27日 06時38分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 (http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180127-OYT1T50021.html?from=ytop_ylistより抜粋)

 

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 昨年12月の韓国による慰安婦合意の事実上の破棄により、日韓関係はこれまでにも増して冷え込んでいる。それ以降、安倍首相が平昌五輪開会式に出席しないのではないかという見方がほとんどのメディアで既定路線として語られていたし、私もそう思っていた。

 しかし先日、首相自ら「状況が許せば出席したい」と発言。「状況が許せば」というエクスキューズがついているため、直前になってキャンセルするのではないかと見る向きもあるが、おそらく出席する路線で確定ではないかと思う。

 

 オリンピックは平和の祭典であるというのが建前として言われている。だから政治に利用すべきではないというロジックだ。しかし、今回に関しては韓国・北朝鮮がこれ以上ないほど政治利用しており、これに乗っかってしまうことの方がその政治利用に手を貸す事態になるのではないかとも思う。

 また、韓国の文在寅大統領は安倍首相に出席を要請していたが、トランプ大統領プーチン大統領も出席しないと言われる中、安倍首相にのみそのような要請を出すのは、これもやはり、慰安婦合意反故を受けて日本が欠席することを見込んで「わざわざ誘ったのに日本が断った」という体にするための政治的なアピールにほかならない。

 

 

 安倍首相は開会式出席に合わせて文大統領と会談を行い、慰安婦合意の着実な履行を求めるとしている。しかしその裏には北朝鮮情勢についての調整もありそうだ。

 韓国は日米韓の同盟関係により北朝鮮を封じ込めなければならない今の局面で日本との対立を強調し、北朝鮮のオリンピックを利用した時間稼ぎに手を貸し、足並を乱している。

 おそらく今回の開会式出席にあたって安倍首相はトランプ大統領とも綿密に打ち合わせをしているはずだ。そして日米のメッセージ、つまり「勝手に行動せず足並を揃えろ」というメッセージを伝えに行くつもりではないだろうか。「さもなくば韓国に構わず日米で勝手にやらせてもらうぞ」という部分まで含まれているかもしれない。それならばトップ同士の会談でなければならない必然性がある。

 

 いずれにせよ、安倍首相が開会式に出席することは韓国側への譲歩であり、日本にとってはセットで行う会談の方が重要である。一つだけ心配なのは、文大統領がその会談をドタキャンしないかどうかだ。今の韓国なら充分ありうるだけに気がかりだ。