News: HARDBOILED

ハードボイルドにニュースの解説をします。

2018年3月6日 朝日新聞が森友文書の書き換えを報じる

朝日新聞】森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える

 学校法人・森友学園大阪市)との国有地取引の際に財務省が作成した決裁文書について、契約当時の文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあることがわかった。学園側との交渉についての記載や、「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている。複数の関係者によると、問題発覚後に書き換えられた疑いがあるという。

 内容が変わっているのは、2015~16年に学園と土地取引した際、同省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書。1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯や取引の内容などが記されている。

 朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。

(https://www.asahi.com/articles/ASL317533L31UTIL060.htmlより抜粋)

 

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 朝日新聞が例の『森友問題』について3月2日付の記事で特大の一報を出している。公文書の偽造疑惑だ。朝日新聞によると森友学園の一件が問題として騒がれ始めた後に、決裁文書から都合の悪い部分を消したとしている。野党も国会でこの疑惑について「朝日新聞の報道が真実なら、内閣総辞職ものだ」として追及している。
 確かに公文書偽造が事実であれば大問題である。しかしいくつか引っかかる点はある。

 第一に、朝日新聞によれば「文書を確認した」とのことだが、普通このような文書に関する新聞記事では「入手した」としてその文書を写した写真を掲載するのが普通だ。しかし今回の書き方は「確認した」のみであり、写真もない。朝日新聞の記者が偽造文書の存在を何らかの方法で確認したと主張しているだけで、実物の証拠が一つもないのだ。
「入手した」であれば物自体が朝日新聞社にあるのだという所在もわかるが、今回は肝心の文書がどこにあるのかも不明だ。信憑性は比較的薄いと判断せざるを得ない。

 第二に、これが「事実だとすれば内閣総辞職もの」だと野党は主張している。確かに公文書偽造であればそれほどの大きなインパクトがある話であることは確かだ。しかしその責任が内閣にあるかと言われれば疑問である。
 朝日新聞も書いているように、この書類は財務省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書である。実際『森友問題』については近畿財務局の仕事がお粗末だった印象は否めない。しかしそれが一気に内閣の責任とするのは飛躍しすぎである。せいぜい近畿財務局の局長や財務省内の監督責任者レベルだろう。内閣が一件一件の案件に個別に関わっているというならば内閣総辞職も頷けるが、そのようなことはありえない。

 そもそも国民の大半は「まだやってるのか」と感じているのではないか。モリだカケだとマスコミや野党が騒ぎ始めてから既に丸1年が経つ。その間「疑惑」はあれこれ出ているが、事実として確認されているものはない。しかも野党は「疑惑」をもってして「潔白であることを証明しろ」と迫っているが、これは悪魔の証明と呼ばれる類のものだ。
 一般の国民が『モリカケ問題』にうんざりしているというのが最もよくわかるのは政党支持率だ。普通はスキャンダルで野党が与党を問い詰めると、与党の支持率が落ち、野党の支持率が上がる。しかし現在、この問題について国会でやればやるほど、逆に野党の支持率の方が落ちている。自らの首を絞める構図だ。ついに希望の党は先日、前代未聞・空前絶後の『支持率0%』を叩き出した。
 国会はワイドショーのスタジオではない。時にスキャンダルの話が出てもいいが、メインはあくまで政策の話であるべきだ。日本には直近に差し迫った解決すべき課題がいくつもある。それらに真面目に取り組む野党がないわけではない。しかし現状ではあまり注目されていないのも確かだ。そのような党が今よりも脚光を浴びて存在感を持ち、国会を生産的な方向に引っ張って行ってくれることに期待したい。